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平山郁夫

「美を知る喜び」
美しいものを知り、これを愛でるのは人間のもつ特性のひとつです。そして、美しいものを描いてみたいと思うのは本能かもしれません。絵画には様々なジャンルがありますが、いかなる絵画にせよ、下絵から起こし、仕上にまで至る過程は途切れることのない精神の集中力が要求されるきつい作業です。しかし、納得のいく作品が完成したときは、描いた当人しかわからない喜びが待ち受けています。
 スペインのアルタミラやフランスのラスコーの洞窟には、後期旧石器時代の彩色壁画が残されていますが、これを描いた私たち人類の祖先は自分たちなりに工夫して画材を作り、溌剌とした線で動物を描いています。
 十分に満たされた条件のもとで作品と取り組むのとは異なり、制限ある条件下での作品制作は大変な根気と努力を要します。私は、このような根気と努力も才能の一つであると評価したいと考えます。「アジア・パラアート」に出品される作品は、すべてこうした努力と美に対する鋭敏な感性に裏付けられた精華であると思います。その意味では、「2009アジア・パラアートTOKYO」のような展覧会が国際的規模で開催されることは喜ばしいことです。たとえハンディは負っていたとしても、才能は努力によって進化し発展するものです。私はそうした方々に共に頑張りましょうと、大いにエールを送るものです。
 最後になりましたが、このたびの企画に携わられた関係各位には衷心より敬意を表します。

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